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歯周病・予防

歯周病と糖尿病の関係は?お互いに悪化し合う理由と、今日からできる対策

公開 約9分で読めます

監修:松田 昌浩(ローカルズ歯科クリニック 院長・歯科医師)

この記事のポイント

  • 歯周病と糖尿病は、お互いを悪化させ合う関係にあるとされています
  • 血糖が高い状態が続くと、歯ぐきの炎症が強くなり、歯周病が進みやすくなります
  • 歯周病の炎症は、血糖のコントロールを難しくする一因と考えられています
  • 歯周病の治療で、血糖の状態が改善したという報告もあります
  • 糖尿病の方は、症状がなくても歯科で定期的に歯ぐきの検査を受けましょう

歯周病と糖尿病はどう関係している?

歯周病と糖尿病は、片方があるともう片方が悪くなりやすい「お互いに影響し合う関係」にあるとされています。糖尿病の方は歯周病になりやすく、進みやすいといわれています。反対に、歯周病の炎症が血糖のコントロールを難しくすることも分かってきました。

歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまったプラーク(歯垢:細菌のかたまり)によって歯ぐきに炎症が起き、やがて歯を支える骨が溶けていく病気です。糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が高い状態が続く病気です。一見まったく別の病気ですが、どちらも「体の中で炎症が続く」という点でつながっています。

こうしたことから、歯周病は「糖尿病の合併症の一つ」といわれることもあります。糖尿病の合併症というと、目(網膜症)・腎臓(腎症)・神経(神経障害)がよく知られていますが、歯ぐきもその仲間に数えられるほど、関係が深いと考えられています。

向き起こること(一般にいわれていること)
糖尿病 → 歯周病血糖が高い状態が続くと、細菌と戦う力が弱まり、歯ぐきの炎症が強くなりやすい。傷の治りも遅くなりやすい
歯周病 → 糖尿病歯ぐきの炎症で生まれる物質が血液にのって全身に回り、インスリン(血糖を下げるホルモン)の働きを弱める一因になると考えられている
よい方向の循環歯周病の治療で歯ぐきの炎症がおさまると、血糖の状態が改善したという報告もある

つまり、どちらか一方だけを治療するのではなく、内科での糖尿病の治療と、歯科での歯周病の治療を並行して進めることが大切です。

糖尿病があると、なぜ歯周病が進みやすい?

主な理由は、血糖が高い状態が続くと、体が細菌と戦う力や、傷ついた組織を治す力が弱まるためです。その結果、同じようにプラークがついていても、歯ぐきの炎症が強く出やすく、骨が溶けるのも早くなりやすいとされています。

歯周病が進みやすくなる主な理由

  • 細菌から体を守る白血球の働きが弱まり、歯周病菌が増えやすくなる
  • 血管がもろくなり、歯ぐきのすみずみまで栄養や酸素が届きにくくなる
  • 歯ぐきのコラーゲン(組織を支える成分)が作られにくくなり、傷の治りが遅くなる
  • 炎症を起こす物質が多く作られやすくなり、歯ぐきの炎症が強く出る
  • のどが渇きやすく唾液が減ると、お口の自浄作用(唾液で汚れを洗い流す働き)が弱まる

特に、唾液が少なくなると、お口の中が乾いて細菌が増えやすくなります。口の乾き(ドライマウス)は、虫歯や口臭、口の中のカンジダ(カビの一種)の原因にもなります。糖尿病の方で、口の渇きやネバつきが気になる場合は、歯科医師や主治医に伝えておきましょう。

血糖のコントロールが大切な理由

血糖がよくコントロールされている方は、糖尿病でない方と同じように歯周病の治療が進めやすいといわれています。一方で、血糖のコントロールがよくない状態が続くと、歯周病の治療をしても歯ぐきが落ち着きにくいことがあります。歯ぐきを守るためにも、内科の主治医の指示に沿って治療を続けることが大切です。

また、喫煙は歯周病を悪化させる大きな要因の一つとされています。糖尿病と喫煙が重なると、歯ぐきへの影響はさらに大きくなると考えられています。禁煙は、歯ぐきにとっても全身にとってもすすめられる取り組みです。

歯周病は血糖値にも影響する?

影響すると考えられています。歯周病で歯ぐきに炎症が続くと、炎症を起こす物質が血液にのって全身に回り、インスリンの働きを弱める一因になるとされています。インスリンが効きにくくなると、血糖が下がりにくくなります。

歯周病が進んだ歯ぐきでは、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の深いすき間)の内側の傷ついた面から、細菌や炎症を起こす物質が体の中に入り込みやすくなります。炎症のある面積は、重い歯周病では思っている以上に広くなることがあるといわれています。

歯周病の治療で期待できること

歯周病の治療で歯ぐきの炎症がおさまると、血糖の状態を示す数値(HbA1c:過去1〜2ヶ月ほどの血糖の平均を反映する値)が改善したという報告があります。こうしたことから、糖尿病の治療の一環として、歯周病の治療をすすめる考え方が広がっています。

ただし、効果の出方には個人差があります。歯周病の治療は、糖尿病のお薬や食事療法・運動療法の代わりになるものではありません。あくまで内科の治療とあわせて行うことで、よい効果が期待できると考えてください。

噛めることも大切

歯周病が進んで歯がぐらついたり抜けたりすると、よく噛めなくなります。噛みにくいと、やわらかい炭水化物中心の食事にかたよりやすく、野菜などの噛みごたえのある食べものを避けがちになります。早食いにもつながりやすく、血糖の管理にとって好ましくないといわれています。自分の歯でしっかり噛めることは、食事療法を続けるうえでも大切です。

糖尿病の方が気をつけたい歯ぐきのサインは?

まず気をつけたいのは、歯みがきのときの出血、歯ぐきの腫れ、口のネバつきや口臭です。歯周病はかなり進むまで強い痛みが出にくいため、こうした小さなサインを見逃さないことが大切です。

サイン考えられる状態目安となる対応
歯みがきで血が出る歯ぐきに炎症がある(歯肉炎・歯周病)やさしく磨き続け、1〜2週間続くなら歯科へ
歯ぐきが赤く腫れている炎症が強くなっている早めに歯科で検査を受ける
口の中が乾く・ネバつく唾液が減っている。血糖が高い状態が影響していることも歯科医師・主治医に伝える。こまめな水分補給
口臭が気になる歯周病の進行、舌の汚れ、口の乾燥など歯科で原因を確認する
歯ぐきから膿が出る歯周ポケットの奥で炎症が進んでいるできるだけ早く歯科を受診する
歯がぐらつく・噛みにくい歯を支える骨が溶けている可能性できるだけ早く歯科を受診する

糖尿病の方は、傷や炎症が治りにくく、歯ぐきの腫れが急に強くなることもあります。顔まで腫れる、熱が出るといった場合は、我慢せずにすぐ歯科医院に連絡しましょう。

「痛くないから大丈夫」ではない

歯周病は「沈黙の病気」と呼ばれることもあるほど、自覚症状が出にくい病気です。糖尿病の方は、神経の働きが弱まって痛みを感じにくくなっている場合もあるといわれています。症状がないうちから、歯科で定期的に歯ぐきの状態を確認してもらうことが、歯を守る近道です。

糖尿病の方が歯科を受診するときのポイントは?

受診のときは、糖尿病であること、飲んでいるお薬やインスリンの使用、最近のHbA1cの値を歯科医師に伝えましょう。お薬手帳や、内科で受けた検査結果の紙を持参すると、正確に伝わります。

歯科に伝えておきたいこと

  • 糖尿病と診断されていること(いつごろからか、通院先)
  • 飲んでいるお薬、インスリン注射の有無(お薬手帳を持参すると正確に伝わります)
  • 最近のHbA1cや血糖値(分かる範囲で)
  • 低血糖を起こしたことがあるか
  • 高血圧や心臓の病気など、ほかに治療中の病気があるか
  • 血液をサラサラにするお薬を飲んでいるか

受診の日に気をつけること

食事とお薬はいつもどおりに

治療の前だからと食事を抜くと、お薬の影響で低血糖を起こすおそれがあります。主治医から特別な指示がない限り、普段どおりに食事とお薬をとりましょう。

低血糖の備えを持参する

万一に備えて、ブドウ糖や砂糖を含む飲みものなどを持っておくと安心です。治療中に冷や汗、手のふるえ、どうき、強い空腹感などを感じたら、すぐに伝えてください。

予約は体調の安定した時間に

食事の時間とお薬のタイミングを考えて、血糖が安定しやすい時間帯に予約をとると安心です。

抜歯などの前は主治医とも相談

血糖のコントロールが不安定なときは、傷の治りが遅くなったり、感染しやすくなったりすることがあります。抜歯などの外科的な処置は、血糖の状態を確認してから進めるのが一般的です。

内科の主治医にも歯科のことを伝える

歯科で歯周病の治療を始めたことや、抜歯などの処置の予定があることは、内科の主治医にも伝えておきましょう。歯科と内科がお互いの治療内容を知っておくことで、お薬の調整や処置のタイミングを相談しやすくなります。糖尿病手帳をお持ちの方は、歯科を受診したことや、歯周病の状態を記入する欄が設けられていることもあります。受診のときに持参するとよいでしょう。

歯周病の基本的な治療は、検査、歯みがき指導、歯石の除去(スケーリング)、歯周ポケットの奥の歯石や汚れの除去(ルートプレーニング)などです。治療の後は、良い状態を保つための定期的なメンテナンスを続けます。歯周病の検査や歯石の除去などの基本的な治療は、一般に保険診療の対象です。

歯周病と糖尿病を悪化させないために、毎日できることは?

基本は、毎日のていねいな歯みがきと歯間清掃、そして血糖のコントロールです。歯科での定期的なクリーニングとあわせて続けることで、歯ぐきの健康を保ちやすくなります。

取り組みポイント
歯みがきやわらかめ〜ふつうの歯ブラシで、歯と歯ぐきの境目を軽い力で小刻みに磨く。特に寝る前はていねいに
歯間清掃フロスや歯間ブラシを1日1回。歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは落としきれないとされる
口の乾燥対策こまめな水分補給。よく噛んで食べ、唾液の分泌をうながす
食事主治医・管理栄養士の指導に沿って。よく噛んでゆっくり食べる
禁煙歯周病と糖尿病の合併症の両方にとってすすめられる
定期検診歯周病の再発や悪化を早めに見つけるため、決まった間隔で歯科を受診する

歯ぐきから血が出ても、歯みがきを休む必要はありません。出血を怖がって磨かないと、プラークがたまって炎症が悪化しやすくなります。やさしく、ていねいに続けることが大切です。

歯石は歯みがきでは取れない

プラークは、時間がたつと唾液の成分と結びついて硬い歯石になります。歯石は表面がざらざらしていてプラークがつきやすく、一度ついてしまうと歯みがきでは取れません。歯石を取り除くには、歯科でのクリーニングが必要です。

受診の目安:歯みがきで出血する状態が1〜2週間以上続く/歯ぐきが腫れている、膿が出る/口のネバつきや口臭が続く/歯がぐらつく、噛みにくい/しばらく歯科検診を受けていない。糖尿病と診断された方は、症状がなくても一度歯科で歯ぐきの検査を受けることがすすめられています。顔まで腫れる、熱が出るなどの場合は、早めに歯科医院へご連絡ください。血糖値の変化や体調で気になることがあれば、内科の主治医にもご相談ください。

ローカルズ歯科クリニックでは、デジタルレントゲンで歯を支える骨の状態を確認し、歯ぐきの状態に合わせて治療を進めています。歯科衛生士によるクリーニング(PMTC)や、基本3ヶ月ごとの定期検診で、治療後の良い状態を保つお手伝いもしています。詳しくは歯周病治療、予防歯科のページをご覧ください。

まとめ

歯周病と糖尿病は、お互いを悪化させ合う関係にあるとされています。血糖が高い状態が続くと歯周病が進みやすくなり、歯周病の炎症は血糖のコントロールを難しくする一因と考えられています。内科での糖尿病の治療と、歯科での歯周病の治療・定期的なクリーニングを並行して続けることが、歯と全身の健康を守ることにつながります。

糖尿病があり歯ぐきの状態が気になる方は、上大岡駅東口から徒歩30秒のローカルズ歯科クリニックにご相談ください(電話 045-350-7372)。

よくあるご質問

Q糖尿病だと歯周病になりやすいのですか?
A

なりやすく、進みやすいとされています。血糖が高い状態が続くと、細菌と戦う力や傷を治す力が弱まり、歯ぐきの炎症が強くなりやすいためです。

Q歯周病を治療すると血糖値は下がりますか?
A

歯周病の治療で、HbA1cなどの数値が改善したという報告があります。ただし個人差があり、糖尿病の治療の代わりにはならないため、内科の治療とあわせて行うことが大切です。

Q糖尿病でも歯周病の治療や歯石取りは受けられますか?
A

受けられます。受診のときは糖尿病であることや飲んでいるお薬、最近のHbA1cの値を伝えてください。抜歯などの外科的な処置は、血糖の状態を確認してから進めるのが一般的です。

Q歯科の治療の日は、食事を抜いたほうがいいですか?
A

主治医から特別な指示がない限り、いつもどおり食事とお薬をとってください。食事を抜くと、お薬の影響で低血糖を起こすおそれがあります。

Q糖尿病の人は、どのくらいの間隔で歯科に通えばいいですか?
A

歯ぐきの状態によって異なりますが、一般に数ヶ月ごとの定期検診がすすめられています。ローカルズ歯科クリニックでは、定期検診は基本3ヶ月ごとにご案内しています。

Q歯周病の検査や治療は保険が使えますか?
A

歯周病の検査や歯石の除去などの基本的な治療は、一般に保険診療の対象です。ローカルズ歯科クリニックでは各種保険を取り扱っています。

気になる症状は、お気軽にご相談ください

上大岡駅東口から徒歩30秒。初診・急患も随時受け付けています。

月〜土 9:00〜13:00/14:30〜18:00(日曜・祝日休診)

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